島国・日本には、各地方や地域の気候や風土に合わせて栽培されている、魅力的な野菜がたくさんあります。
味や品質が優れ、生産者の熱意や愛情がそそぎ込まれた、“MADE IN JAPAN”のブランド野菜は、日本全国のみならず、世界中の人々に知らせたい、貴重な産物です。
農林水産省認定の「登録産品」に選ばれる30種の野菜
「ブランド野菜」と耳にすると、『京野菜』や『加賀野菜』などの名前が頭に浮かぶと思います。これらは、京都や石川県で栽培されている複数の野菜の総称であり、個々のブランド野菜と意味づけることはできません。
それから、「◯◯県といえば◯◯」と思いつく有名野菜もたくさんあると思いますが、地名を冠したブランド野菜について、いくつご存知ですか?
数をあげればきりがない、日本各地のブランド野菜の中でも、今回は、農林水産省が認定する『登録産品』にリストアップされている30種をご紹介します!(2020年2月末現在)
《北海道地方》
【夕張メロン 北海道 夕張市】
オレンジ色の果肉とゴージャスな香りと甘みが特長の、メロンの王様。
雪国の北海道でも、年間降水量が少なく、水はけのよい火山灰土壌ならではの地域でなければ栽培できない作物です。
【十勝川西長いも 北海道 帯広市など】
酪農が盛んな帯広市とその近郊が一大産地。長いもとしては、少し短めのとっくり型をしています。
そのまま食せば歯ごたえがとってもよく、とろろにすると粘りが強く、海外でも高い評価を得ています。
【今金男しゃく 北海道 瀬棚郡今金町・久遠郡せたな町】
水はけのよい火山灰地の土壌、内陸性気候による昼夜の寒暖差は、馬鈴薯の栽培に適しており、1953年からは男爵品種のみを作付け。
厳しい選果基準を満たした出荷品は、表面の色味や形状がどれも美しく、自然にとろけるような舌ざわりと安定した味と合わせて“トップクラス”の評価を受けています。
《東北地方》
【ひばり野オクラ 秋田県雄勝郡羽後町】
身が大きく、柔らかい食感のオクラを安定した品質で生産しています。
県内でも日照量の多い地域で、ハウス栽培における温度管理がしやすく、オクラ栽培に適した環境が整っていることが、品質安定の理由です。
【松館しぼり大根 秋田県鹿角市】
鹿角市の松館地区で昔から栽培されてきた辛み大根で、丸みを帯びたくさび形のフォルムが特徴です。
辛味は強いものの、どこか甘みも感じられる独特な風味で、さまざまな料理の薬味として利用されています。
【山形セルリー 山形県 山形市】
山形市内を張り巡る水路や蔵王山系の伏流水など、豊富な水を利用して、質の高いセルリーを栽培しています。
成長してもシャキシャキとした食感やみずみずしさが損なわれることはなく、えぐみや苦味が少ない味わいです。
【南郷トマト 福島県 南会津郡】
昼夜の気温差が大きく、夏でも比較的涼しい気候が、トマト栽培に適しています。
40年以上にわたって年間2,000tを超える生産量を誇れるのは、雨除け栽培や共同選果体制の構築などの組織的取り組みの賜物です。
【二子さといも 岩手県 北上市】
北上川の氾濫がもたらした、肥沃で水はけのよい土壌は、地中に根を張るさといもの栽培に適しています。
大玉で、味が濃く、なめらかな食感と強い粘り気が特長です。
【小笹うるい 山形県 上山市】
蔵王連峰の裾野の中山間地域は、うるいが自生していた地域と気象条件が近く、火山灰を含みつつも適度な粘性がある土壌も栽培に適しています。
一般的なうるいと比べて白い茎の部分が長く、シャキシャキとした食感と特有のぬめりの強さが特長です。
《関東地方》
【江戸崎かぼちゃ 茨城県 稲敷市・牛久市】
収穫のタイミングは完熟してから。果肉は濃いオレンジ色をしていた、皮の緑色が濃いのも特長です。
火山灰が積もった排水性の高い土壌で育てられ、過度な湿気に弱いかぼちゃの栽培に適しています。
【新里ねぎ 栃木県 宇都宮市】
小石が混ざった粘性質の高い土壌、日照に恵まれ、冬の冷気を受けやすい気候が、ねぎの甘みを増やします。
100年以上の伝統を持っていますが、軟白部が弓のようにしなっている形が特徴の曲がりねぎです。
【水戸の柔甘ねぎ 茨城県 水戸市・東茨城郡城里町など】
十分な作土層で育てられた根深ねぎは、全長が140cmにもなります。
軟白部分が一般的なねぎより長く、辛味やえぐみがなく、生でも食べられるほど甘みが際立っているのが特長です。
《北信越地方》
【吉川ナス 福井県 鯖江市】
鯖江市の旧吉川村一帯で栽培されているナスで、これまで一度も品種改良されることなく育てられている伝統野菜。
直径10cmほどの、光沢ある丸ナスは、身の水分量が多く、火を通すと上品なとろみのある食感を楽しめます。
【谷田部ねぎ 福井県 小浜市】
植え替えを2度行う際、ねぎの向きを「斜め」にする独特の栽培方法が伝統です。
斜めに植え替えることで、根に近い軟白部が釣り針のように曲がっていますが、食感はとっても柔らかく、甘みも抜群です。
【山内かぶら 福井県 三方上中郡若狭町】
昔から若狭町山内地域で育てられてきたカブ。円錐形の身は硬さがある分、煮崩れする心配がなく、漬ければしっかりとした歯ごたえの漬物ができあがります。
葉っぱもカブ菜としておいしく食すことができます。
【加賀丸いも 石川県 能美市・小松市】
「加賀野菜」の代表格。ソフトボールほどの大きさの球形で、ねばりの強い特徴を持ち、高級食材として知られています。
昭和9年の洪水で、川砂と田んぼの土が混ざり合ったためにできた土壌だからこそ栽培できる逸品です。
【くろさき茶豆 新潟県 新潟市】
明治末期、山形県鶴岡市から取り寄せた茶豆を、新潟市西区黒崎地区において長年かけて選抜。独特の色と香りがあり、一般的な枝豆と比べて、莢の数が多いのも特徴です。
栽培管理が難しい品種ですが、地域の人々が一体となって、栽培技術を磨き、受け継いでいます。
【上庄さといも 福井県 大野市】
昼と夜の寒暖差がある盆地特有の気候だからこそ、デンプンが蓄積しやすく、煮崩れしにくい緻密な肉質のサトイモが育ちます。
真名川や九頭竜川などの河の水も豊富にあり、地域一帯が生産に適した土壌です。
【入善ジャンボ西瓜 富山県 下新川郡入善町】
ラグビーボールに似た楕円形のスイカで、平均的な重さは17〜19kg。肥沃な扇状地でのスイカ栽培は、明治後期から始まりました。
果皮の緑は濃く、縞模様もはっきり。さっぱりした甘みが特長です。
【津南の雪下にんじん 新潟県 中魚沼郡津南町】
豪雪地帯の津南町で、初冬から春の時期に積雪下で栽培されています。
マイルドな甘さと香り、独特のうま味を持ったにんじんの収穫は、補助除雪の後、手作業で行われています。
《東海地方》
【三島馬鈴薯 静岡県 三島市・田方郡函南町】
箱根の西麓に広がる斜面で育てられている、メークイン種のじゃがいも。傾斜地での栽培であるがゆえに、収穫はすべて手掘りで行われています。
他産地のメークインと比べて高値で取り引きされるに相応しい、品質の高さが売りです。
《近畿地方》
【万願寺甘とう 京都府綾部市・舞鶴市・福知山市】
辛味のない唐辛子で、ピーマンに近い肉厚な果肉とさわやかな香りが特徴です。
舞鶴市の万願寺地区で、「伏見とうがらし」が自然交配して生まれた野菜で、種子の管理が徹底しているため、京都府北部のこのエリアでしか生産されていません。
《中国・四国地方》
【鳥取砂丘らっきょう/ふくべ砂丘らっきょう 鳥取県 鳥取市】
「鳥取といえば」の代表的な野菜。鳥取砂丘にほど近い砂丘畑で育てられていますが、無駄な水分や栄養素がない砂地だからこそ、らっきょうの栽培にピッタリなんです。
【連島ごぼう 岡山県 倉敷市】
ごぼう栽培には珍しく、伏流水が豊富な砂地の土壌で育てられています。そのためか、肌は白く、アクは少なく、肉質が柔らかいのが特長。
洗いごぼうとして出荷されるので、そのまま調理に使えます。
【美東ごぼう 山口県 美東市】
秋吉台の石灰岩が侵食してできた窪地の土壌で栽培している効果で、食感が柔らかく、先端まで肉付きが良い長根のごぼうが育ちます。
出荷前に稲わらなどで丁寧に泥を落とす作業は、昭和初期から続く伝統的な手法です。
【大山ブロッコリー 鳥取県西伯郡・米子市】
年間平均気温15℃、昼夜の温度差の平均が約8℃、大山山麓の砂壌土が広がる地形と土壌は、ブロッコリー栽培に最適です。
全国有数の産地として、品質管理の徹底と安定供給の手法が確立されています。
【大栄西瓜 鳥取県 東伯郡・倉吉市】
形や品質にバラツキがなく、安定して供給できる生産量も魅力のスイカです。
交配後、約48日ころまで完熟させてから出荷しており、果実の中心と皮ぎえあの糖度差が少ない品種として人気があります。
【善通寺産四角スイカ 香川県 善通寺市】
もともとスイカ栽培が盛んだった善通寺市では、昭和40年代から成型栽培容器を使った四角スイカの生産が行われています。
サイコロ状の四角い形、ほぼ垂直に整った縞模様はとてもユニークで、地元のふるさと納税の返礼品にも選ばれるなど、善通寺市を代表する特産品になっています。
《九州・沖縄地方》
【ヤマダイかんしょ 宮崎県 串間市】
鹿児島県と隣接する宮崎最南端の生産地は、水はけのよい火山灰の堆積地で、さつまいもの栽培適地です。
果皮は鮮やかな紅色で、ひげ根を丁寧に処理して出荷しているから見た目はとっともキレイ。加熱すると、ホクホクとした食感と上品な甘さを味わえます。
【菊池水田ごぼう 熊本県 菊池市・合志市など】
収穫後の洗いやアク抜き作業に必要となる水が大量に供給できること、適度な保水性がありながらも水はけのよい土壌から一大生産地に成長しました。
肌が白く、曲がりの少ないキレイな見た目と、食感の柔らかさに加えて、出荷数量の安定感と出荷期間の長さが高く評価されています。
ブランド野菜の名前、いくつご存知でしたか?
以上、農林水産省が認定する『登録産品』89品目の中から、野菜類30種を一挙にご紹介しました。
皆さんは、この内、いくつのブランド野菜の名前をご存知でしたか?
農林水産省は、それぞれの地域に根づいた伝統的な生産方法によって育てられ、気候・風土・土壌などの特性が品質の特性に結びついている産品の保護を目的に、『地理的表示(G1)保護制度』を設けています。
これらはまさに、日本が世界に誇る農作物であり、青果物の海を超えた国際交流をコーディネートする株式会社HIBIKIが世界に伝え広めたい野菜たちです。