「野菜の栄養を効率的に摂取するには、皮ごと食べると良い」という話ははよく耳にしますが、果実以外にも食べられるのは、何も皮に限ったことではありません。
「レシピを見ても『取る』って書いてあるし、固いし……」と、当然のように捨てられてしまう種やヘタ。でも実は、その「捨てられる」ものの中にこそ、栄養がたっぷり入っているんです。
今回は、“三角コーナーへ一直線”そんな野菜の部位のなかでも、調理次第で食べられるもの、おいしく食べるための注意点、さらには含まれる栄養素などについても紹介します。
ピーマンの種・わた
中が空洞で果実の上部に密集するピーマンの種。
実はここも普段食べている果実部分と同じように、調理して食べることができます。
トマトの4倍にも相当するビタミンCを含み、ただでさえ栄養価の高いピーマン。
それに加えて、わたにはむくみ解消に効果があるカリウムが、種には血行促進効果のあるピラジンが多く含まれています。
ピーマンの種とわたを食べることで、美容・健康面でより高い効果が期待できます。
ピーマンを種・わたごと食べるときに、気を付けること
ピーマンを種・わた付きのまま調理することは、栄養を余すことなく摂れるだけでなく、下ごしらえの手間が大幅に省けることも嬉しいポイント。
果実の部分よりも種・わたの方が苦みが強いという難点もありますが、この青臭さこそが栄養の証!
ピーマンは加熱すると甘みが増すので、丸ごとおいしく食べるには、しっかり火を通す調理方法がおすすめです。
それでも「種の舌触りが気になる…」という方は、いっそ、丸ごと煮付けにしてしまうのも◎。
しかし、当然のことながら包丁を入れなければ、中身の様子が分からないので注意が必要です。
調理前に虫食いや傷がないかよく確認し、なるべく新鮮なものを使う方がよいでしょう。
ナスのヘタ
こちらも、お料理の際には迷いなく切り落としてしまうであろう部位ですが、実はここも食べられます。
ナスの紫色の色素である「ナスニン」には、ポリフェノールの一種「アントシアニン」が豊富に含まれており、高い抗酸化作用を持つことはよく知られた話です。
そんなナスのヘタには抗炎症作用があり、黒焼きを患部につけることで、歯槽膿漏や口内炎の炎症を和らげる方法まであるんだとか…。
そう聞くと、今まで捨ててしまっていたのがもったいなく感じますよね。
ナスをヘタごと食べるときに気を付けること
ここで注意したいのはガク(花弁の外側の部位)の部分。
ガクの棘はナスが新鮮な証拠でもありますが、食べたときに口の中をケガしないよう、調理の際には周りのガクを丁寧に切り落とし、軸の部分だけ残すようにしましょう。
軸は実の部分よりも固いので、しっかり焼いたり煮込んだりすることでよりおいしく食べられます。
ヘタと実の部分を切り離して、別々の料理に使うのも一つの手です。
冬かぼちゃの種・わた
カロチン、ビタミンB1、B2、ナイアシンのほかに亜鉛、鉄分などが豊富に含まれるかぼちゃの種は、美容や老化防止にもってこい。
また、わたの栄養価も非常に高く、わたに含まれるベータカロテンは、なんと果実部分の約5倍!アンチエイジングに効果的なビタミンAも豊富に含まれています。
かぼちゃの種・わたを食べるには?
種は水洗いし、2〜3日天日干しすることで水分を飛ばします。
殻を剥いたらフライパンで煎り、仕上げにお好みで塩やカレー粉などで味付けすれば自家製パンプキンシードの完成!
サラダのトッピングとしても活躍しそうですね。
一方、わたは包丁で叩き、繊維を断ち切ってから使います。
パンやお菓子の生地に混ぜ込んだり、スープにするのがおすすめです。
少しの工夫とひと手間で
野菜を余すことなく食べることは、効率的な栄養摂取だけでなく、ゴミの削減にもつながります。
家でごはんを作る機会が多くなった今、正しい知識で、おいしく、賢く、野菜を日々の食事に取り入れてみませんか?