秋といえばお芋が美味しい季節です。
種類も豊富で、誰にとってもなじみ深い野菜であるお芋。
ものによって、可食部分が異なるということをご存じでしょうか。
本記事では、食欲の秋にちなんでお芋の豆知識をご紹介します。

そもそも「お芋」って何だろう?

実は、「芋(いも)」という品種は明確には存在しません。
芋とは、植物の根や地下茎が肥大化し養分を蓄えた器官のこと。
そのなかでも食べることができるものを総称して「芋」と呼ばれているのです。
主成分がエネルギーの素となる“でんぷん”であることから栄養価も高く、さらに穀類よりも総じて栽培が容易であることから、世界では芋を主食とする国や地域も少なくありません。
栽培する場所をあまり選ばず、しかも栄養たっぷり!
まさにお芋は、「大地の恵み」という言葉がぴったりの野菜です。
では次に、お芋の種類をひとつずつ見ていきましょう。

さつまいも

ヒルガオ科サツマイモ属のさつまいもは、根菜と呼ばれるとおり植物の「」の部分を食べるお芋です。
私たちが普段食べているあのたっぷりとした紫色の部分は、根が肥大化したものなんですね。
所々細い根が付いていることからも、さつまいもが植物の根であることがわかります。
この細い“ひげ根”が土の中の養分を吸収する役割を担い、さつまいもはその養分を蓄えるいわばタンクのようなもの。
仕組みを知ればその形状にも納得です。

さつまいもの旬

ちなみに、8月~11月ごろに収穫されるさつまいもの食べごろは、10月から1月
2,3カ月の間に貯蔵することで水分が抜け、甘みを増したものが市場へ出回ります。
その頃になるとお手頃価格で手に入るので、ぜひ食べてみてくださいね。

じゃがいも

ナス科ナス属のじゃがいもは、“地下茎”と呼ばれる植物の茎の部分を食べるお芋です。
根とは別に土の中にも茎を伸ばし、枝分かれしたその先に芋がつきます。
つまり、茎の先端の太った部分を私たちは「じゃがいも」として食べているわけですね。

じゃがいもは「茎」を食べる作物!

茎というからには、もちろんその延長に葉もつきます。
地面を半分に切って横から見ると、一度地下に茎を張ったじゃがいもが、もう一度地上に出ていることがよく分かります。
じゃがいもにある、おへそのようにひとつだけついた“くぼみ”の部分は、もともと茎が付いていたところ。
それに対して先端には小さなイボがいくつか付いていることがありますが、そちらはこれから伸び出す予定だった芽のなごりです。
形状を見ても、じゃがいもが茎を食べるお芋であることがよくわかりますね。
ちなみに、同じ地下茎を食べる仲間には、お芋の中では里芋、他には生姜レンコンなどがあげられます。

やまいも(やまのいも)、ながいも

ヤマノイモ科ヤマノイモ属のやまのいもは、地下で発達した担根体(たんこんたい)と呼ばれる部分を食べるお芋です。
担根体とは、根にも茎にも似た植物の部分のこと。
茎から伸びて根を張るという、どっちともとれる存在でありながらも、なかには担根体として独立した存在があるという説もあるなど、ほかのお芋と違って少し分かりにくいかもしれません。

やまいもは、地下に育つ作物!

さつまいもやじゃがいもと同じように花は咲くものの、さらに特徴的なのはその「増え方」。
他のお芋と同じように、やまいもは地下に伸びて育つ作物です。
地上で上に向かって伸びるツルと葉と、そしてその根本にできる「むかご」。
茎が丸くなってできたこのむかごが地面に落ち、翌年の春に芽を出し、最終的に地面の中で立派なやまいもとして育つのです。
基本的には、土の中でできる他のお芋と同じ仕組みなので、むかご自体も調理しておいしく食べることができますよ。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
煮ても焼いても揚げてもおいしいお芋ですが、実はその食べている部分も、育つ仕組みも、それぞれ似ているようで違う生態をもつ興味深い植物です。
今度調理する際は、ぜひご自身の目でその特徴を確かめてみてくださいね。