みなさんこんにちは
今日は食糧自給についてお話したいと思います。
日本の食糧自給率はカロリーベースで38%という数値は何となくご存知ですよね?
今回これを取り上げたのはカロリーベースというよくわからない数値とは別のアプローチをしたかったからです。
カロリーベース以外では金額ベースでの数値が63%(令和3年度)ということですが、こちらの数値もよくわからないですよね。
なので実際にどれくらいの量が国内でとれていて、どのくらいの量が輸入されているのかを調べていきたいと思います。
全部を事細かに調べ上げていくと大変なことになりそうなので、国が定めている指定野菜14品目と輸入の比率が高い5品目の野菜とお米、小麦、大豆、そばを調べてみました。
出荷量は国内で栽培してその年に出荷された量、輸入量は同年に海外から輸入された量です。
また冷凍品で個別にデーターが採れるものについては輸入量を記載しました。
最新のデーターがそろっている2020年令和2年の数値を見たところ、
令和2年 14品目出荷量と輸入量 | |||||
a)出荷量(t) | b)生鮮輸入量(t) | 自給率① | c)冷凍輸入量(t) | 自給率② | |
キャベツ | 1,293,000 | 32,390 | 97.56% | ||
白菜 | 741,100 | 5,591 | 99.25% | ||
レタス | 531,600 | 7,941 | 98.53% | ||
葱 | 441,100 | 52,769 | 89.32% | ||
ほうれん草 | 182,700 | 0 | 100.00% | 48,052 | 79.18% |
とまと | 640,900 | 8,743 | 98.65% | ||
きゅうり | 468,000 | 38 | 99.99% | ||
なす | 236,400 | 46 | 99.98% | ||
ぴーまん | 127,400 | 36,803 | 77.59% | ||
玉葱 | 1,218,000 | 219,236 | 84.75% | ||
大根 | 1,035,000 | 32,354 | 96.97% | ||
人参 | 525,900 | 84,448 | 86.16% | ||
さといも | 92,400 | 3,597 | 96.25% | 23,101 | 77.58% |
じゃがいも | 1,857,000 | 23,198 | 98.77% | 24,118 | 97.52% |
①14品目計 | 9,390,500 | 507,154 | 94.88% | 95,271 | 93.97% |
かぼちゃ | 151,000 | 91,410 | 62.29% | ||
ごぼう | 111,000 | 40,503 | 73.27% | 7,833 | 69.66% |
枝豆 | 51,200 | 367 | 99.29% | 71,121 | 41.73% |
しょうが | 35,100 | 11,583 | 75.19% | ||
にんにく | 15,000 | 22,831 | 39.65% | ||
②5品目計 | 363,300 | 166,694 | 68.55% | 78,954 | 59.66% |
①+② | 9,753,800 | 673,848 | 93.54% | 1,033,000 | 85.11% |
自給率①は生鮮品の自給率で自給率②は冷凍品も含めたその品目の自給率です。
※冷凍野菜の輸入量は輸入統計上分類分類できない項目もあって2020年の総輸入量を計上しました。分類できたものは必要に応じて記載しました。
次の表はお米や小麦の数値になります。
穀物類の出荷量と輸入量 | |||
国産出荷量(t) | 輸入量(t) | 自給率 | |
お米 | 7,226,000 | 676,826 | 91.44% |
小麦 | 1,171,000 | 5,373,862 | 17.89% |
大豆 | 218,900 | 3,163,360 | 6.47% |
そば | 44,800 | 70,630 | 38.81% |
8,660,700 | 9,284,678 | 48.26% |
さすがにお米の自給率は高いですね。(輸入が行われている背景について知りたい方は“ミニマムアクセス米”と検索してみて下さい。)
野菜はなんとかなりそうですが細かく見ていくとにんにくは輸入依存型ですね。枝豆も冷凍品の輸入量が国産の出荷量を超えています。ごぼうやさといもほうれんそうなども冷凍品を含むと自給率が下がります。ピーマンは輸入の多いパプリカと統計上は同類で分別できないため自給率が下がるという特徴があります。
これ以外に乾燥や水煮、ペーストなどの加工品としての輸入もあります。(いずれどこかで紹介できれば。)
お米以外の3品目の状況は知っていたものの改めて数値でみると散々ですね。大豆やお蕎麦は日本の食文化を形成するものですが、輸入が止まったり、価格がさらに高騰すると食文化の維持が困難になってしまうのではと危惧しています。
輸入業に携わっていて輸入を行っている理由は一言で言うと国産だけでは足りないからです。が、それともう一つの理由は『国産が高いから』という理由です。国産が海外産と比べて高い理由は①大規模生産ができない(小麦や大豆等)②気候風土が日本にあっていない(バナナやアボガド等)③国内生産だけでは足りない(枝豆やにんにく)といった理由が挙げられ、これらの品目は海外から仕入れたほうが安く手に入ることが輸入する理由です。
ただ最近の情勢で安く仕入れることが難しくなってきています。つまり、国産が高いから輸入している状況から国産より高いけど、国産だけじゃ足りないから輸入しないといけない状況が発生するかもしれません。(一部ではそういう状況がもう起こっています)
それは今まで安いものを使って安く提供していたことが難しくなることにつながります。
食料を輸入に依存するということにはほかにも問題があります。それらを次回以降でまた紹介したいと思います。
やはり食を大切にしていかないといけないですね。