野菜を使った料理を始めるときの最初の下ごしらえと言えば、“野菜を洗うこと”ですよね。

パッと見て土のよごれが気になる野菜から、パッと見た感じはキレイな野菜まで種類はさまざまですが、皆さんは普段、どれくらいの時間をかけて、どんな方法で洗っていますか?

からだに良く、ビタミン豊富な野菜を、できるだけ安心して食べるためには、しょっぱなの“洗い方”がとっても大切です。

今回は、野菜を洗うべき理由、洗う際のポイント、いま注目を集めている洗い方の一工夫についてご紹介します!

安全に食べるために、野菜は“しっかり”洗ってから調理

スーパーマーケットや八百屋さんで買った野菜、知り合いの農家からのいただきものや家庭菜園で手塩にかけた野菜を、おいしく調理し、安全に食べたいと思うなら、野菜の洗い方からこだわってみましょう。

見た目がきれいな野菜でも、農薬の成分が残っていたり、見えない場所に小さな虫やバクテリアが隠れていたりする可能性があるものです。

だから、「野菜は調理前にしっかり洗ってから使う」が基本中の基本。

特に、火を通さずに生で食べる野菜は念入りに洗うことが大切です。

オススメは、流水で30秒かけて丁寧に洗う

野菜の洗い方は、なんとなく、適当に、サッと水で洗えばOKという訳ではありません。それでは、気になる農薬や付着した虫、バクテリアなどの細菌を十分に落とすことは難しいと言われています。

手間と時間がかかるかもしれませんが、できることなら、「流水で30秒かけてしっかりと水洗い」することをオススメします。

ポイントは、流水であること。水をためたボウルなどを使って浸し洗いをするのではなく、蛇口から出る新しい水を常に使ってキレイに、丁寧に洗っていきましょう。

野菜の種類に適した洗い方のレベルは3段階

一口に野菜と言っても、種類やかたち、栽培環境や調理前の汚れ具合はまちまち。だからこそ、野菜それぞれの特徴に適した洗い方もまちまちです。

まずは、「必ずしっかり洗ったほうがいい野菜」、「できるだけ丁寧に洗ったほうがいい野菜」「実は洗わなくてもいい野菜」の3グループに分けてみました。

必ずしっかり洗ったほうがいい野菜

■ ブロッコリー

■ カリフラワー

■ レタス

■ キャベツ

■ キュウリ

■ トマト

■ ピーマン

■ パプリカ

■ ほうれん草

■ セロリ

■ かいわれ大根

■ じゃがいも

■ いちご

「必ずしっかり洗ったほうがいい野菜」の特徴を簡単に言えば、食べる部分が最初からむきだしになっている野菜たちです。他にも同様の特徴を持つ野菜もありますが、その中でも農薬が残りやすいと言われている野菜が並びます。

ゴツゴツした形のブロッコリーやカリフラワーは、洗うのが一番難しい野菜です。すき間に入り込んだ汚れや農薬を洗い流すためには、流水での洗浄だけでなく、ボウルなどにはった水の中につけてしっかりゆすぎましょう。

また、キャベツやレタスは使用する部分だけを切り出してから洗うのがベスト。表面から2〜3枚分をむいたあと、葉を一枚ずつ洗うことをオススメします。

さらに、トマトやピーマンなどは、ヘタやおしりの部分を特にしっかり洗うことが肝心です。

できるだけ丁寧に洗ったほうがいい野菜

■ さつまいも

■ 長いも

■ 白菜

■ カボチャ

■ ナス

■ ねぎ

■ だいこん

■ ゴボウ

■ もやし

■ トウモロコシ

■ たけのこ

「できるだけ丁寧に洗ったほうがいい野菜」は、最初に紹介した野菜に比べて、残留農薬の量が少ないとされています。

土の汚れが気になる野菜の代表格であるゴボウについては、皮の部分に豊富な栄養があり、独特の風味があります。流水でのこすり洗いは必要ですが、こすり過ぎはせっかくの栄養素まで洗い流してしまうので注意しましょう。

実は洗わなくてもいい野菜

■ 玉ねぎ

■ しいたけ

■ しめじ

■ エリンギ

■ えのき

皮がついたまま調理することのない玉ねぎは、実の部分をわざわざ洗う必要はありません。

また、菌床栽培で育てられることがほとんどの国産のきのこ類は、農薬をまったく使わないので、残留農薬におびえる必要はありません。その上、水洗いをしてしまうと、せっかくの香りや風味がなくなってしまいます。

気になる場合には、ふきんやキッチンペーパーなどで汚れをふきとる程度で十分です。

50℃の熱いお湯で野菜の鮮度が復活する!?

近年、野菜の洗い方として話題を呼んでいるのが、冷たい水ではなく、50℃の熱いお湯を使う方法です。

「お湯で野菜を洗うなんて、熱が通ってクタッとしなびてしまうのでは?」と思うかもしれませんが、実際にはその真逆。熱いお湯にしばらく浸けてから冷水で洗った野菜は、鮮度が戻ってシャキッとした食感になり、酵素が失われないから味もしっかりするんです。

この効果は、お湯に浸けた際に起こる「ヒートショック現象」によるもの。野菜を熱にさらすと、発生したタンパク質が細胞を保護すると同時に、表面の気孔が開いて水分を取り込む働きが生まれ、洗う前よりもフレッシュな野菜によみがえるのです。

また、水で洗い流すだけの洗浄よりも、野菜の表面に付着した農薬、虫、雑菌、土汚れが落ちやすくなるメリットもあります。

お湯の温度設定や時間のかけすぎにはご注意を

お湯洗いに適している温度が、約50℃(48〜52℃)である理由もちゃんとあります。

それは、「野菜に含まれる栄養素を保ちながら、きれいに汚れを落とすことができる」という点です。

多くの野菜に含まれているビタミンCやビタミンB群などの栄養素は、水溶性です。水に浸したり、さらしている時間が長ければ長いほど、健康に役立つビタミンが溶け出してしまう特徴があります。

加えて、60℃以上のお湯を使うと、溶け出すスピードは一気に早くなってしまうんです。50℃前後に設定したお湯に浸して洗う時間は、葉物野菜で1〜2分ほどあれば十分。

温度設定を間違えたり、うっかり時間をかけすぎてしまうことがないように注意しましょう。