ほうれん草は、冬に旬を迎える野菜です。ほうれん草はもともと寒さに強い野菜ですが、冬の寒さにあたることで、甘みの素である糖を葉に蓄える性質があります。そのため、旬を迎えたほうれん草は夏場に収穫されたものと比較して甘みが強く、ビタミンCなどの栄養価も高くなる傾向があります。

そこで今回は、旬のほうれん草を美味しく、栄養を逃さず食べるために知っておきたい特徴や栄養価、おすすめの調理方法などを詳しく解説します。

なお、果物にも冬に旬を迎えるものがあります。以下のコラムでは冬が旬の「りんご」について解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

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冬(11月〜3月)に採れるほうれん草は甘みと栄養が増す

冬(特に11月〜3月頃)に採れるほうれん草は、夏に収穫されるものと比較して糖度と栄養価が高くなります。

ほうれん草が冬に甘くなる理由は、凍結から身を守るために細胞内に糖を蓄える性質があるためです。これはほうれん草だけでなく「大根」や「白菜」などの野菜も、同様の理由で寒い時期に甘みが増します。

また、ほうれん草には免疫機能の維持を助けるビタミン類も豊富に含まれているため、体調を崩しやすい寒い時期にこそ、積極的に食べるのがおすすめです。

参照:農林水産省「冬に旬を迎える野菜って?」

ほうれん草の栄養価と期待できる健康効果まとめ

ほうれん草は豊富な栄養を含んでいる緑黄色野菜の一つです。

ほうれん草に特に多く含まれている栄養素と、期待できる健康効果を下表にまとめました。

<ほうれん草に多く含まれる栄養素と期待できる健康効果>

栄養素

期待できる健康効果

鉄分、マグネシウム(ミネラル類)

貧血の予防効果

βカロテン

抗酸化作用、老化予防

ビタミンC

シミの原因となるメラニン色素の抑制、風邪予防

ビタミンB1・B2

心臓の機能を正常に保つ、精神の安定

葉酸

胃腸粘膜の健康維持、胎児の神経管閉鎖障害の予防

食物繊維

腸内環境の改善


参照:文部科学省「日本食品標準成分表」

ほうれん草の栄養素を逃さないおすすめの調理方法

ほうれん草に含まれる栄養素には、水に溶けやすい性質や、油と一緒に摂ることで吸収率が上がるものがあります。ここでは、ほうれん草の栄養素を逃さないおすすめの調理方法を3つご紹介します。

  • 電子レンジを使って加熱する
  • 油を使ってソテーする
  • 丸のまま短時間でサッと茹でる

それぞれの調理方法と、おすすめの料理について解説します。

電子レンジを使って加熱する

ほうれん草を電子レンジで加熱することで、ビタミンCのような水溶性ビタミンの流出を抑えられます。

ただし、電子レンジ加熱ではアクの成分であるシュウ酸が残りやすい点に注意が必要です。加熱後に水にさらしてアク抜きをすることで、えぐ味を抑えられます。

<電子レンジを使ったおすすめの料理>

  • ほうれん草のおひたし
  • ほうれん草のごま和え

参照:東京都保健医療局「食品安全FAQ」

油を使ってソテーする

ほうれん草に多く含まれるβカロテンは、油を使ってソテーすることで体内への吸収率がアップします。

抗酸化作用が期待できるβカロテンを効率良く摂取するために、炒め物など油を使用する調理法がおすすめです。

<ソテーでおすすめの料理>

  • ほうれん草とベーコンのソテー

丸のまま短時間でサッと茹でる

うれん草を茹でる際は、丸のままサッと茹でることで、切り口から栄養が流出することを防げます。切ってから茹でると、水溶性のビタミンなどが流れ出てしまうためです。

鍋で手軽に調理したい場合は、丸のまま短時間で茹でるのがおすすめです。茹でることで、えぐ味の原因であるシュウ酸も減らすことができますが、茹ですぎには注意しましょう。

<茹でる場合のおすすめ料理>

  • ほうれん草と人参のごま和え
  • ほうれん草のナムル

ほうれん草をより美味しく食べるために知っておきたい3つのこと

ほうれん草をより美味しく食べていただくために、知っておきたい3つのポイントについて詳しく解説します。

美味しいほうれん草の選び方

美味しいほうれん草を選ぶには、次の3点を意識すると良いでしょう。

  • 葉が大きく肉厚で、色が濃く鮮やかな緑色のものを選ぶ
  • 根元がみずみずしく、鮮やかな赤色のものを選ぶ
  • 茎が適度な太さでハリがあるものを選ぶ

茎が太すぎるほうれん草は育ちすぎている可能性があり、風味が落ちていたり、硬かったりすることがあります。葉だけでなく茎にも注意して選ぶのがおすすめです。

ほうれん草の正しい保存方法

生のほうれん草を保存するときには、湿らせたキッチンペーパーや新聞紙などで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で立てて保存しましょう。茹でたほうれん草を保存するときには、使いやすい量に小分けにしてそれぞれをラップに包んでから冷凍保存するのがおすすめです。

ほうれん草を下ごしらえするときのコツ

ほうれん草を下ごしらえするときには、たっぷりのお湯を使って短時間で茹でるのがコツです。茹で時間の目安は1分〜1分半で、茹で終わったものは冷水にさらしてアク抜きしましょう。

まとめ

ほうれん草は、冬に旬を迎える甘くて美味しい野菜です。ほうれん草は寒さによって糖や栄養を蓄えるため、旬ならではの味わいと豊富な栄養をぜひ楽しんでみてください。

また、ほうれん草に含まれる栄養素を効率よく摂取したい方は、調理方法に注意が必要です。
水溶性ビタミンを逃さないよう加熱時間を短くしたり、βカロテンの吸収率を高めるために油と一緒に調理したりすることを意識することで、美味しく、かつ多くの栄養を摂取できるでしょう。