にんじんは1年を通して流通している野菜ですが、実は季節によって味や栄養価が異なります。 その中でも11月〜3月に旬を迎える「冬にんじん」には、甘みが強く栄養価が高いという嬉しい特徴があります。
本記事では、寒い冬にこそにんじんを食べるのがおすすめな理由や栄養素、効率的な食べ方について解説します。
免疫力向上や美容効果など、さまざまな健康効果が期待できるにんじんについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
寒い冬にはにんじんを食べるのがおすすめな理由
体調を崩しやすい冬に、にんじんを食べるのがおすすめな2つの理由を詳しく解説します。
甘みや香りが強く、野菜嫌いな子どもでも食べやすいため
冬に収穫されるにんじんは、通常のものより甘みや香りが強く、美味しく食べられます。 寒い環境で育つ野菜は、水分が凍ってしまわないよう、自ら体内に「糖」を蓄える性質があります。これによって糖度が増し、特有の甘みが生まれるのです。
香りも、にんじん特有の青臭さが減りフルーティーな香りになるため、小さなお子様でも美味しく食べられるでしょう。
冬野菜が甘くなる仕組みについては、以下のコラムで詳しく解説しています。
β‐カロテンなどの栄養価が高いため
にんじんは寒さに耐えることで、β‐カロテンなどの栄養を体内に蓄える力が増します。 実際に、冬に収穫されるにんじんは、夏に収穫されるものと比較して、ビタミンCやβ-カロテンの含有量が多い傾向にあるといわれています。
β‐カロテンには免疫力を高める効果をはじめ、さまざまな健康効果が期待できます。 体調を崩しやすい冬場は、美味しくて栄養価の高いにんじんを意識して食べると良いでしょう。
にんじんにたっぷり含まれる「β‐カロテン」ってどんな栄養?
にんじんは、栄養価の高い緑黄色野菜です。その中でも、体内でビタミンAに変わる「β‐カロテン」が多く含まれているのが最大の特徴です。
ここからは、β‐カロテンの摂取によって期待できる3つの健康効果について詳しく解説します。
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期待できる効果 |
詳しい働き |
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免疫力を高める |
粘膜を正常に保ち、ウイルスの侵入を防ぐ |
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抗酸化作用 |
細胞の老化を防ぎ、生活習慣病を予防する |
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目や肌の健康維持 |
視機能の改善や、肌のターンオーバーを整える |
免疫力を高める
免疫力を高める β‐カロテンは、体内でビタミンAに変換されることで、皮膚や粘膜の調子を整えて免疫力を高めます。
寒さや乾燥によって風邪やさまざまな感染症にかかりやすい冬ですが、栄養価の高い野菜を積極的に摂取することで体のバリア機能を高め、病気の予防につなげられるでしょう。
強い抗酸化作用がある
β‐カロテンには、強い抗酸化作用があります。 抗酸化作用のある栄養を摂取することで、体の「サビ(酸化)」を防止し、がんや糖尿病などの生活習慣病を予防することが可能です。
その他にも、しみ・しわ、老化の原因となる活性酸素の働きを抑える効果も期待できます。
目や肌にとって重要な役割を持つ
β‐カロテンから変換されるビタミンAは、目や肌にとって重要な役割を持っています。 暗い場所で視界が悪くなったり、目が乾きやすくなったりといった症状には、ビタミンAが有効とされているためです。
また、ビタミンAは肌の代謝(ターンオーバー)を正常に保つ働きがあるため、肌の状態を整えることにも役立ちます。
にんじんの栄養を最大限に摂取できるおすすめの食べ方
にんじんにたっぷり含まれているβ‐カロテンを最大限に摂取するためには、食べ方にも工夫が必要です。
ここでは、おすすめの2つの食べ方について詳しく解説します。
油類と一緒に食べる
β‐カロテンは脂溶性ビタミンの一種であり、油類と一緒に摂取することで吸収率がアップする特徴があります。
- 油を使って炒め物(きんぴらごぼう、野菜炒めなど)にする
- カレーやシチューなど、肉や油を含む料理で煮込む
- 生で食べる場合は、オイル入りのドレッシングをかける
このように調理することで、効率的ににんじんの栄養を摂取できるでしょう。
よく洗って皮ごと食べる
にんじんに含まれているβ‐カロテンは、皮の近くに集中しています。
出荷時に薄い皮は剥がれていることが多いですが、表面部分には栄養が詰まっています。
よく洗うことで表面まで食べられるため、最大限に栄養を摂取するなら皮ごと食べるのがおすすめです。 皮まで食べることに抵抗がある場合は、薄くスライスしたり、ポタージュにしたりして食べると良いでしょう。
【知って得する】にんじんに関する3つの豆知識
にんじんについて、知っているとお得な3つの豆知識について紹介します。 スーパーで選ぶ際や、自宅で保存する際の参考にしてください。
美味しいにんじんの選び方
美味しいにんじんには、以下の特徴があります。
- 茎の切り口(軸)が細いもの(芯まで柔らかい証拠です)
- 全体的に赤色が濃く、鮮やかなもの
- 表面にハリやツヤがあり、黒ずみがないもの
軸が太すぎるものは、芯が硬くなっている可能性があるため注意しましょう。
にんじんを上手に保存しておく方法
にんじんを保存するときには、水気を拭き取りキッチンペーパーで包んで袋に入れ、立てた状態で冷蔵庫(野菜室)に入れると長持ちします。
にんじんは土の中で育つ状態(縦向き)で保存すると、エネルギーの消費を抑えられるためです。
使いかけのにんじんを保存する場合は、ラップに包んで保存し、早めに使い切りましょう。
実は食べられる「にんじんの葉」に含まれる栄養
にんじんは葉が切られた状態で流通していることが一般的ですが、葉も食べられます。 実は、根の部分よりも「ビタミンC」や「ミネラル」が豊富に含まれているため、葉付きのものを買ったときには捨てずに一緒に炒めて食べるのがおすすめです。 かき揚げやお味噌汁の具にすると、美味しくいただけます。
【Q&A】冬のにんじんに関するよくある質問
Q. 冬にんじんを生で食べても大丈夫ですか?
A. はい、大丈夫です。冬にんじんは甘みが強くえぐみが少ないため、サラダやスティック野菜として生で食べるのにも適しています。
ただし、β-カロテンの吸収率を高めたい場合は、マヨネーズやオイルドレッシングなど油分と一緒に摂ることをおすすめします。
Q. にんじんの糖質は高いですか?
A. 他の葉物野菜と比較すると糖質はやや高めですが、食物繊維も豊富に含まれているため、血糖値の急上昇を抑える効果が期待できます。
極端な糖質制限をしていない限り、気にする必要はありません。
まとめ
にんじんは、11月から3月にかけて旬を迎える野菜です。 冬場に収穫されるにんじんには、甘みや香りが強く、通常より豊富に栄養を含んでいる特徴があります。
特に、にんじんに多く含まれている「β‐カロテン」には、免疫力を高める効果や体の健康を促進する効果が期待できます。 体調が崩れやすい寒い冬には、にんじんなどの美味しくて栄養たっぷりな冬野菜をたくさん食べるのがおすすめです。
