4月から新学期が始まり、学校に通い始めたお子さんたちは、そろそろ新しい生活に慣れてきた頃でしょうか。新生活をバタバタと過ごしているうち、まもなくやって来るのがGW。
例年なら、新しくできた友達とのお出かけや家族とのレジャーが楽しみな季節ですが、今年はそれもちょっと難しいかもしれません。
そこで今回は、知っているとちょっと自慢できる? 休み明け、友達につい教えたくなるような、野菜にまつわる”ことわざ・慣用句”をご紹介します!

大根役者

意味・由来

演技が下手」という意味で、現在も俳優や芸能人などを指して使われる「大根役者」。
歌舞伎で舞台上の俳優に対するヤジ悪態として、江戸時代に使われるようになったのが始まりとされています。

大根は消化がよいので、お腹の調子が悪くなること、あたることはめったになく、このことから、「平凡であたらない(うけない)役者」をこう呼んだことが由来なんだとか。

大根はどんなお料理にも合う!ということで、役者としてのオールラウンダーであるかのように良い意味で「大根役者」という言葉を使う人もいるそうですが、それは誤りなので要注意!
間違っても、好きな俳優さんや女優さんなんかに使わないようにしてくださいね。

 

芋蛸南瓜(いも・たこ・なんきん)

「いも・たこ・なんきん」といえば、2006年10月~2007年3月にかけて放映されたNHKの「朝の連続テレビ小説」、大阪の小説家・田辺聖子の半生をモチーフ描いた『芋たこなんきん』が記憶に新しいですね。

意味・由来

江戸時代から女性の好きなものを語呂合わせ風に並べたものとして「芝居蒟蒻芋蛸南瓜」(しばい、こんにゃく、いも、たこ、なんきん)という言葉があり、その「芝居・蒟蒻」の部分が省略されて広く使われるようになった言葉が、「いも・たこ・なんきん」です

落語の枕詞としてもあるように、当時の男性の道楽といえば「呑む(飲酒)・打つ(博打)・買う(女郎)」。これらが非常にお金のかかるものだったのに対し、女性の好きなもの(いも・たこ・なんきん)はどれも安くつく、という意味でも使われたそうです。

秋なすは嫁に食わすな

「一富士二鷹三茄子」のように、しばしばナスは昔のおいしい食べ物としてことわざや慣用句の中に登場します。秋なすは嫁に食わすな」も、”ナスはおいしい野菜である”という前提のことわざですが、「食わすな」とは一体どういう意味なのでしょうか?

意味・由来

由来となる説が大きく分けてふたつあります。
ひとつめは、「一年のうち、一番おいしくなる秋ナスを憎らしい嫁には食わしてはならぬ」という、昔の封建制度を背景とした成り立ち。
ふたつめは、「秋ナスは体を冷やすから嫁には食べさせないほうが良い」という、こちらはうって変わってお嫁さんの体への気遣いから生まれたとする説です。

一般的にナスの食べ頃は夏のイメージが強いですが、昼と夜の寒暖差が大きくなる9~10月のナスは、夏のナスよりもやわらかく水々しいナスが採れるのだそう。
説として意見が分かれるところですが、「おいしい秋ナスを嫁に食べさせたくない」といういじわるなお姑さんの言葉より、気温の下がった秋にお嫁さんの体を気遣う優しさが由来であってほしいものです。

戸板に豆(といたにまめ)

意味・由来

板に豆を載せるとコロコロと転がっていく様に例えて、物事がテンポよく順調に進展していく様子や、弁舌が巧みなことの例えとして使われる言葉です。

普段はあまり聞きなじみのないことわざかもしれませんが、「戸板に豆」は、よどみなく流暢にすらすらと話す様子を意味する「立て板に水」(たていたにみず)の類義語と言えます。
どちらも、板の上で抵抗なく流れていく様子がイメージすると意味が分かりやすいですね

一方、「戸板に豆」には、上に述べたような良い意味の他にも、戸板の上にある豆はコロコロと転がり扱いにくいことから、「男女の仲が思い通りにいかない様子」を表わす言葉として使われることもあるのだとか。
同じことわざでも正反対の意味があるので要注意。状況に応じて使い分けるようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
一度は耳にしたことがあるものから聞きなじみのないものまで、野菜にまつわることわざ・慣用句はほかにもまだまだたくさんあります。
お子さんと一緒に、「この野菜にはどんなことわざがあるのかな?」と、食事の後に一緒に調べてみるのも楽しいかもしれませんね。