最近、野菜のパッケージにQRコードが付いていることが多くなりましたが、皆さんお気づきでしょうか?

このQRコードを携帯で読み取るとメーカーのWebサイトにつながって…というわけではなく、野菜の生産者や流通経路などの情報を閲覧できる「食品トレーサビリティ」の仕組みになっているんです。

では、この「食品トレーサビリティ」とは一体なにかを、皆さんはご存知ですか??

 

食の安全を担保する「食品トレーサビリティ」

生産・加工・流通まですべてを追跡

「食品トレーサビリティ」とは、ひとつの食品が、いつ・どこで・どのように生産・流通されたかなどを確認できる仕組みです。

各事業者が食品を取り扱った時の入荷と出荷に関する記録を保存しておきます。もし、食中毒などの事件や事故が発生した際、食品の移動ルートを追跡して、原因究明や商品回収などの対応がスムーズに行えることが最大のメリットです。

牛肉と米には法規制も

2001年、国内牛のBSE感染(狂牛病)が発覚して以降、日本では20年ほどの間に食肉の表示違反や事故米の流通などの食品事故がたくさんありました。

これらの問題をうけて、現在、牛肉は「牛トレーサビリティ法」が制定され、米に関しては「米トレーサビリティ法」という法律ができ、生産・加工・流通の情報が管理されています。

 

様々な食品に広がるトレーサビリティ

日本では導入コストがネックになり…

世界に目を向けると、2005年に欧州連合(EU)で「一般食品法」が制定され、食品トレーサビリティが法制化されました。アメリカでも2006年に施行の「バイオテロ法」で食品全般を対象とした食品トレーサビリティが法制化されています。

それに対して日本では、法的に業者間の取引記録や産地情報の伝達が義務付けられているのは、牛肉と米・米加工品だけ。他の食品は、トレーサビリティの導入に法的な強制力がないこともあり、導入コストの掛かるトレーサビリティはあまり注目されませんでした。

安心・安全の担保として注目度はUP

ところが、「O-157」による食中毒や食品偽装問題など様々な食品問題が明らかになるにつれて、日本でも食の安全に対する不信感が少しづつ消費者間に広がりはじめました。

考えてみると私たちは、ほとんどの食品をどこでどのように製造されたかも知らずに、口の中に入れています。

生産元や販売元が「大企業だから大丈夫」という時代でもなくなり、不安が拭えないなかで、「食品トレーサビリティ」を実践する食品は、生産・加工・流通の履歴を確認できる「安心・安全」な食品として注目を浴びるようになってきました。

 

野菜でも活躍する「食品トレーサビリティ」

今後注目!野菜のQRコード

実は日本の野菜は、生産時の栽培データについて追跡できるものが多いそうです。

JA全農がトレーサビリティの基本となる、土づくりから始まり品種・肥料・農薬・生育過程などの生産履歴を記帳する「安心システム」の活用を進めていたり、大規模産地では各地のJAが独自のトレーサビリティシステムを構築しています。

今後の課題は、生産履歴だけでなく、流通や加工経路までの全行程を追跡可能にすること。これには、生産者と卸売業者と小売業者が提携が必要不可欠。「バーコード」や「QRコード」と連動したインターネット上のシステムを駆使する取り組みは、今まさに盛んになりつつあります。

野菜のQRコードで「食育」の促進も

最近スーパーでも見かけるようになったQRコード付きの野菜。

スマホでQRコードを読み取ると、生産地の詳細や作業日誌、使用薬剤などの情報だけでなく、中には農地の写真や生産者の顔写真まで見れるものもあるようです。

私たちの食の安全のために頑張っている生産者の姿を見ることは、「大切に食べなきゃ」という“感謝の気持ち”も生まれてきます。そんな“食育”の促進にも、トレーサビリティは活躍します!